【レビュー】ASUS Zenfone9 – 小さいけれどすごいやつ

ハイエンド端末の大型化が進む昨今、「コンパクトハイエンド」という一点に勝算を見出したASUS社が2022年に発売したZenfone9についてレビューします。

最新SoC搭載の5.9インチディスプレイで10万を切ってくるという価格設定にはメーカーのかなりの意気込みを感じますが、メイン機として2週間使ってみての感想をお届けします。

「Zenfone9」の基本スペック

参考:ASUS公式

2022年11月に国内版リリースのASUS製小型ハイエンド端末です。元々ASUS社は日本国内にZenfone5(A500KL)を投入し格安なのに普通に使える高コスパ中華スマートフォンの先駆け的な存在でした。2022年現在、当時ほどの勢いこそありませんが毎年最新SoCを搭載したハイエンド端末を市場に送り出しています。

今回、新たに発売されたZenfone9の基本スペックは以下となっています。

項目 ASUS Zenfone 9
画面 5.9インチ 有機EL
120Hz駆動対応 1080:2040 (20:9)
サイズ 68.1×146.5×9.1mm, 169g
CPU Snapdragon 8+ Gen 1
メモリ 8GB/16GB
ストレージ 128GB/256GB
OS Android 12
カメラ 50MP(標準,6軸ハイブリッドジンバル対応)
12MP(超広角)
インカメラ12MP
バッテリー 4,300mAh
FeliCa おサイフケータイ対応
SIM Dual SIM対応(物理x2 ※eSIM非対応)
生体認証 側面指紋認証
防水 IP68防水防塵
価格 99800円(8/128GB) / 112800円(8/256GB) / 129800円(16/256GB)
詳細 ASUS公式

「Zenfone9」のボディ

Zenfone9を持ってみてはじめに感じるのはその圧倒的な小型さです。フィルム込みで173gです。

特質すべきは横幅。68mmしかありません。これはiPhoneで言えばiPhone7/8/SE2/SE3のサイズ(67.3mm)、Xperiaで言えばXperia5Ⅲ(68mm)あたりに相当します。市場のほとんどのスマートフォンが70mmは超えてくるので、68mmという横幅サイズはかなり小さいものと言えるでしょう。

カラーバリエーションはRAM/ROM容量にもよりますが、一番カラバリ豊富な8GB/128GBモデルが4色となっています。

カラバリは4種。【スターリーブルー/サンセットレッド/ムーンライトホワイト/ミッドナイトブラック】

特徴的なのは、存在感のある二眼レンズと裏面の素材です。裏面は感触はザラザラとしたサンドペーパーのような触り心地で、ガラスやプラスチックでないためケースなしでも指紋が目立たないのは非常にいいと感じました。紙っぽいと言っても決して安っぽさはなく、個人的にはこういう素材大好きです。是非店頭で実機を触ってみてほしいです。

本体上部には、マイクと3.5mmイヤフォンジャックを、

右側に音量ボタン、電源兼指紋センサー、

下部にSIMスロット、Type-Cポート、マイク、スピーカーを備えます。

ZenFone9は付属品も充実している点もユーザーにとってはメリットと言えるでしょう。この圧倒的な化粧箱の大きさ。

TYPE-C to TYPE-C ケーブルと30W充電器、プラスチックケースが付属します。AppleやSamSungに安易に追随しないしないその姿勢。個人的には好感が持てます。

また、付属のケースとして無個性のTPUケースではなくこだわりの感じられるプラスチック素材のものがついてきます。光の下限で「Zenfone9」と浮かび上がります。こだわってますねASUSさん。(このケースめちゃくちゃ滑るのでおすすめしませんが・・)

「ZenFone9」の処理能力/バッテリー持ち

SoCはSnapdragon 8+Gen1を搭載し、処理能力は日常使いで気になった部分はほとんどありません。Antutuベンチマークを2回連続で実行した結果が下記です。

100万点超えと、処理能力については申し分ないと言えるでしょう。また発熱についても、多少温かいなというレベルで大きく気になるものではありませんでした。

また、バッテリーは4300mAhを搭載します。実際のバッテリー持ちはと言うと私のような一般的な会社員レベルで使用するとフル充電で約2日使えるような感じでした。主にSNS、通勤昼休み時間でのブラウジング、LINEでの事務連絡程度しか使用しないため私にとっては十分なバッテリーです。なお設定は、リフレッシュレート90Hz固定、システムモードはダイナミックです。

「Zenfone9」のカメラ

次にカメラですが、広角・超広角の二眼構成となっており望遠レンズは非搭載となっています。なおZenfone9の広角カメラは6軸のハイブリッドジンバルに対応しており、静止画も動画も手ブレを最小限にして撮影することが可能となっています。

上が5000万画素の広角カメラ、下が1200万画素の超広角カメラです。

いくつかシーンごとに作例を準備しましたので紹介します。すべての写真が「カメラ起動→シャッター切るだけ」の撮って出しとなっています。比較対象は私の現在のメイン端末、Galaxy S21 Ultraです。

【日中・広角】

【日中・超広角(0.6倍)】

日中帯は大きく差が出ない印象です。どちらかというと、Zenfone9のほうが色味が淡く明るめに取れているように見えます。

【夜間・広角】

【夜間・超広角】

夜間帯でも日中と同様、Zenfone9はより明るめに映す傾向があります。そのため、超広角の写真右上電光掲示板が白飛びしてしまっています。また、駅奥のkirarinaのビルが気持ちのっぺりしているように見えます。S21 Ultraと比較するとやはりGalaxyはAIがうまく調整しており全体の露出は抑えつつ、明るいところは明るく、暗いところは暗くメリハリのある出来上がりです。掲示板に映し出された映像もしっかり捉えています。

このあたり。電光掲示板とみずほ銀行の看板が白飛びしています。

【夜間低照度・広角】

【夜間低照度・超広角】

Galaxyはだいぶレンズフレアが発生していますが、やはりZenfone9は明るいですね。肉眼で見たときより実物に近いのはGalaxyで、暗所を肉眼以上に明るく仕上げているのがZenfone9です。手ブレの観点ではGalaxyは少しぶれている印象を受けますが、Zenfone9はしっかり捉えているように見えます。これが6軸ハイブリッドジンバルの効果でしょうか。低照度では明るめではありますが、かなり明瞭に捉えていて印象はいいです。あと、カメラテスト全体を通して超広角はGalaxyに比べ画角が狭いです。

Twitterで随時作例を紹介しているので是非フォローもお願いします。

「Zenfone9」のUI

Zenfone9が搭載しているZenUIですが、ピュアAndroid+αという感じでユーザー目線の親切設計となっていましたので何点か便利だなと感じたものを紹介します。

背面ダブルタップ機能

iPhoneにもあるこの機能。設定可能なのは下記。

  • スクリーンショット
  • カメラ起動
  • 懐中電灯ON/OFF
  • サウンドレコーダーON/OFF
  • Googleアシスタントを開く
  • マルチメディア(音楽再生中のON/OFF)

なんとなくサウンドレコーダーON/OFFがあるのが時代を反映している気がしますが、、

この機能若干というかかなり反応が鈍く、スムーズに起動できていません。アップデートでの修正を期待します。

ジェスチャー操作

スリープ時にジェスチャー操作をすることにより特定のアプリを起動することができます。例えばデスクに置いたままジェスチャー操作のみでLINEを開いたり、SNSを起動したりできるので特に仕事中に来たメッセージを確認するときなどに役に立ちます。

エッジツール

フローティングウィンドウでアプリの起動が可能(対応アプリのみ)。

都度都度ドロワーに戻らなくても、ユーザー任意のアプリを起動できます。電卓やマップアプリ、LINEなど現在開いているアプリを閉じずに上からアプリを起動できるためなかなか便利です。

スマートキー

特定の動作に特定の操作を割り当てることが可能になっています。割り当て可能な操作は3種類で、

  • 電源ボタンを2回押す
  • 長押し
  • スワイプ

となっています。

クイックアクセスでは、電源キーを上下にスワイプする動作に操作を割り当てることができます。下記のように、画面の最上段最下段に移動する操作やウェブページやアプリを更新するといった操作を割り当てることも可能です。

電源ボタン2回押しには、Galaxyと同様にカメラ起動を割り当てておきました。スリープから即カメラ起動できるのは子どもの何気ない一瞬を収めるのに便利なんですよね。このあたりは設定の汎用性が高くてありがたいです。

「Zenfone9」のメリデメ

しばらく実際にメイン端末として使いましたが、Zenfone9は非常に高いレベルでまとまっていることがわかりました。Zenfone9のメリデメをまとめ、どんな人におすすめかを考えてみました。

・5.9インチ重量169gの最高に取り回しやすいボディ
・Snapdragon 8+Gen1搭載で最高の処理能力
・10万円以下というハイエンド市場では相対的に見て手に取りやすい価格
・6軸ハイブリットジンバル搭載
・搭載メモリタイプ8/16GBに対応
・eSIM非対応ながらも、物理x2のデュアルSIM対応
・ユーザーフレンドリーなZenUI搭載
・おサイフケータイ対応
・指紋と顔のデュアル認証機能搭載(マスク顔認証も対応)
・ツインアプリ対応
・無線充電非対応
・望遠カメラ非搭載
・対応アクセサリーの品揃えが悪い

「筐体をコンパクトにすること」というコンセプトを実現するためには、何かを削らざるを得ないのでその中で無線充電と望遠カメラを選択したのは妥当な選択だったと感じます。

市場での立ち位置ですが、サイズや価格帯を考慮するとPixel7が一番の対抗馬となると思います。Pixel7との比較は下記のとおりです。

また、想定されるユーザーですが「コンパクトスマホ」に価値を見出だせる人になるかと思います。5.9インチというコンパクトさを実現するため無線充電や望遠カメラを削っています。これらの機能<コンパクトさを選ぶユーザーであればなにも迷うことはありません。処理性能、バッテリー持ち含め十分メイン端末として実用に耐えうるものだと思っています。

まとめ

ITmedia Mobileのインタビューにテクニカルプロダクトシニアマネージャーの方はこう語っています。

持論になってしまうかもしれませんが、大きくするのは簡単です。小さくしながらハイスペックを追求するのには、ものすごく技術力が求められます。大型なら冷却性能に余裕が持てますが、小型だと制約が増えてしまう。ASUSにはその技術力があります。

コンパクトハイエンドとして市場の一定の立ち位置を得たASUS Zenfone9。

プロダクトコンセプト「手のひらに、無限の可能性を。」をしっかり体現した製品に仕上がっています。この取回しの良さ、一度使ってしまうともう離れられないかもしれません。開発秘話を呼んで更にASUS社のファンとなってしまいました。全部のせではなく、多くの人が必要であろう機能の共通項をコンパクトなボディに押し込んだ新型Zenfone9、おすすめです。

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この記事を書いた人

Y世代ど真ん中の30代。ガジェットと子供(娘・息子)の成長が人生の糧。ガジェットと子育て・育児ネタを中心に発信します。息子誕生に合わせて2ヶ月の育児休暇取得中。

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